こんにちは(^^♪
私がここ数年読んだマンガの中で、一番おもしろいかなと思っている本があるのですが…
ちょうど今NHKでアニメ化もされています。
「チ ー地球の運動についてー」
15世紀──まだ天体が地球の周りを動いているとされた時代の話。
作中ではC教と濁されているのですが、ルネッサンス前の中世ヨーロッパではキリスト教が司法であり立法であり権力であると同時に、文化であり共同体であり生活OSの全てでありました。
キリスト教価値観では、人間は生まれながらに罪を背負うもの。そんな人間が集まり暮らしているこの地上は醜く汚れている。だからこの地上は一番低き所にあり、美しい天上は我々の届かないところで回っている。
もれなく全員がそう信じて疑わない、中世ヨーロッパでは聖書が唯一無二の真理であり、その教えと矛盾しない「天動説」こそがこの世の理でありました。
その説に疑問をもつだけで、異端!魔女!はい処刑!っていう超殺伐とした時代です。正直作品としてもすごく色のない世界を淡々と進みます。
でもいつの時代も好奇心を抑えられない人間というものがごく少数いるもので。。
命を懸けてでもこの世の本当の形を、真理を知りたい、地動説を証明したい!
それにかける主人公たちの話です。
章ごとに主人公がリレー形式に代わっていきます。
それぞれの主人公たちがなぜ地動説を証明したいかは各々違うのですが、ただ知りたいという欲求もあれば、地位のためお金のため、この世が美しいと証明したいため。理由はそれぞれなんですが、みんな文字通り命を懸けるんですよ。
そして皆その中で何かを得て、それぞれ最後は本当に見たかったものにたどり着きます。
淡々としているのですが、熱いです。そのバランスが絶妙。あー何かを知ることで、世界ってこんなに自分の中で変えられるんだと感動できます。
この漫画、多分十年前とかだったら読んでる人にあんまり響かなかったと思うんですよね。でも今はコロナがあって、世界中の人間の価値観がガラリと変わり、さらに今現在もすごいスピードで変わり続けてて。その変化に対して皆が何がしかの不安を抱えている。
でもまあどんなに価値観が変わるって云っても、この地球が動いてると知った時の彼らよりはよっぽど小さな変化ですよ。処刑されることもありませんしね。
そして本当に自分が美しいと思ったり、信じたいと思ったり、全てを懸けたいと思うものが何かあれば、どんな時代を生きてたってそれは素晴らしい人生です。
前述した通り淡々と進み、すごい盛り上がりがあるわけではない漫画です。拷問のシーンなんかもあるので万人にお勧めできはしないと思うのですが、私の中では人生でとても響いた作品です。巻数も八巻で完結なので、良かったらぜひー。
ではまた!